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2人はホーム下の線路で身を屈めていた。事故当時まだ雪は降っておらず、ホームに人はまばらだった。 これは当日現場で、最後の瞬間を目撃した人の証言です。 李さんと関根さんは一緒にホーム下に屈んでおり、迫り来る電車に李さんが驚いて顔を上げたのを、この方ははっきりと見ていました。
試写会のプレスシートに堂々と載せ、ポスターにもしている衝撃の最期のシーン。 「スヒョンさんは、電車に轢かれて亡くなるまでの7秒間 走りこんでくる電車に向かい、 両腕を突き出し 懸命に止まれと合図を送っていた。」 今しきりにあちこちで連呼されている「命の使い方」も、このシーンが象徴になっているように思います。 でも、こんな事実はありませんでした。
三村プロデューサーのもとに舞い込んだ「目撃者の手紙」に記してあったとのことですが 遺体状況を調べれば彼1人が特別な動作をしていなかったことは自明です。 発見時、落ちた人は両足切断、李さんと関根さんは電車とホームの間にはさまれていました。 また、事故現場の描写は本当に取材したのか疑わしいほど間違っています。
●雪の降る夜→事故当時は降っていない。
●ホームに大勢の人→人はまばら。現場付近には泥酔客と女性の3,4人。 あとの人は現場から遠く、人が落ちた事にも気づかなかった。女性の叫び声で初めて異変を知った。
新聞に「週末のラッシュの時間帯で、ホームは通勤客らで混雑していた。」と書かれましたが、 これは記者の完全なミス。人が集まってきたのは事故が起きてから。駅員、消防、警察、そして野次馬。 人が沢山いたと証言する人がいたら、それは事故後に訪れた人です。 3人を轢いた電車に乗っていた人も事故後に人が集まってきた光景を携帯からネットに書き込んでいました。
●7秒間→5秒程度(参考 http://www.rescuenow.net/get_close/repo/02_verify_a.html)
人をかきわけて救出に向かうイメージは 「日本人は何も出来ず、ただ手をこまねいていた」かのように、観客の意識にすりこまれます。
事実は、付近には殆ど人がいなかった。 男は落ちた人の仲間の酔っ払いで冷静な判断は無理。 そこに20代と40代の男性がいたら、自分達でなんとかしようと思っても不思議ではないと思います。
宣伝文句に、「7秒あれば逃げられた。でも彼は逃げなかった」と書かれているのを見かけます。 実際は7秒もなかったし、李さんは車にはねられ右腕が使えなかった(同居していた韓国人談)という 話もあります。それが本当なら、どれほどの身体能力でも、泥酔した中年男性を救助したり、 1m10cm上のホームに勢いつけて飛び乗るのは難しいでしょう。 三村プロデューサーの言う「2〜3秒あれば逃げる事はできた」にいたっては論外です。
制作陣は、あまりに劇的に感動的に作ろうとして理性がふっとんでしまったのかもしれません。 しかし、これは仮にも「実話をもとにした」映画ですし、このシーンは真実と謳っているものです。 意図的でなかったのなら、当該シーンの右下にでも「これはイメージ映像です」と挿入してほしいものです。 「決して真似はしないで下さい」も。
「殺身仁成 身を殺して仁を成す」この通りの最期を撮りたかったのでしょう。 仁を成そうとしたかもしれないが、成してこその言葉です。 彼らは生きていたかっただろうと思います。目撃された方の話を聞いて尚更その思いは強まりました。 脚色された主人公には「命の使い方」という言葉が相応しいのかもしれませんが 最後の瞬間の表情を知った今、その言葉は無神経の極みでしかありません。
差別、歴史認識、在日、日本人の恋人との恋愛 それらのエピソードはすべてフィクション、 真実と謳っている「電車を止めようとしていた」もフィクションです。 どなたかが「死んだことと恋人と裂かれた事は事実だ」と書かれていました。 ならばその事を知っている、多くの日本人は見る必要はないようです。 「フィクションはあっても、映画の伝えたかったことは十分伝わる」ともありました。 ということは、この映画の伝えたいことは、まさにフィクションの部分にあったのかもしれませんね。 友好の為であれば、物言えぬ故人の生と死を脚色してもなんとも思わないのでしょうか。 全くの架空の人物の物語のほうが、心が痛まない分まだマシでした。
最後に。
本文中の情報提供してくださった現場目撃者の方は、このレビューの前のほうに書かれています。 http://moviessearch.yahoo.co.jp/userreview/tyem/id326060/rid30/p2/s0/c19/ この方は事故当日の目撃をネット上の日記に書かれていました。現在もネット上にあります。 mixiにもいらっしゃいますので、入れる方で関心のある方は検索してみてください。
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